企業の資金調達の手段は色々ありますが、近年は日本国内でも「ファクタリング」の利用を検討する企業が増えています。
担保や保証人が不要、信用に傷がつかない、迅速な現金調達が可能など多くのメリットがありますが、海外と比べると国内ではまだメジャーな取引とはいえないので、初めてファクタリングを検討するという企業も多いと思います。
本章ではファクタリング会社選びで注意する点についてお伝えします。
注意すべきは「安全面」と「条件面」
ファクタリングサービスを提供する会社は多くありますが、この業界は悪質な業者も紛れ込みやすいので、取引先としての安全性、信頼性の確保には相当の注意を払う必要があります。
また数多くあるファクタリング会社はそれぞれ利用条件が異なるので、適当に選んでしまうと金額面などで自社が望む目的を果たせない可能性もあります。
そこで、ファクタリング会社選びでは、条件面で自社の目的を果たせる契約条件となるかどうかもチェックする必要があります。
「安全面」と「条件面」の二つについて、それぞれどんな点に注目すれば良いのか、次の項から見ていきます。
「安全面」のチェックで注意する点
ファクタリング業者のうち、比較的小規模で小回りの利く活動をしている業者の中には、ヤミ金まがいの悪質な事業者が紛れ込んでいる可能性があります。
ファクタリング業界は比較的参入が容易な業界でもあるため、ヤミ金業者が紛れ込みやすい環境となってしまっています。
ヤミ金業者につかまっては、高すぎる手数料を要求されたり、ファクタリングとうたいつつ違法な融資を押し付けられることもあります。
違法な取引を押し付けられると資金調達どころではなくなってしまいます。
こうした悪質業者はいくつかの特徴がありますので、悪質ファクタリング会社に騙されないためには以下の点に注意を払ってチェックしてください。
①所在地など企業情報が開示されているか
悪質な業者は責任の所在を明確にしたがらない特徴があるので、会社の所在地や代表者の氏名などを公表したがりません。
連絡先もフリーメールのアドレスで、電話が無い、あるいは050などIP電話しか記載がない所はかなりハイリスクですから、接触自体を避けた方が良いでしょう。
②好条件過ぎないか
問い合わせなど初期の接触で、相場よりもかなり好条件を提示された場合も要注意です。
例えば、通常二社間取引のファクタリングの場合の手数料は5.0%~20%程度が相場となりますが、これよりも相当低い手数料を提示されるような場合は信頼性の面で疑問符が付きます。
最初は好条件で釣っておいて、取引間際で不利な条件に変更するなどの行為も一部で報告されています。
ファクタリングを利用したい企業は今すぐ現金が必要であるという弱みに付け込んで、不利な条件を飲ませようと画策する悪質業者もいます。
特段の事情も無く、初取引で相場に合わない好条件を提示された場合は敬遠した方が無難です。詳細を伺うにしても、相当警戒しながら話を進めるようにしてください。
③担保や保証人を要求しないか
ファクタリングは債権の譲渡取引にあたるものですから、担保や保証人は不要なはずです。
実際、通常のファクタリング会社であれば、担保・保証人不要をホームページ上などで公表しているところが大部分です。
にもかかわらず、担保・連帯保証人を要求された場合はファクタリングに名を借りた貸し付けということになりますから、このような運営スタンスの業者は避けるようにします。
安全面では、最低でも上記3点をクリアできるファクタリング業者を選抜するようにしましょう。
最低限の基準をクリアするファクタリング業者を対象として、次の条件面のチェックに進んでください。
「条件面」のチェックで注意する点
信用や安全性の面でクリアできたら、次にそのファクタリング会社との取り引きで自社の目的を満たせるかどうかを見極めることになります。
取り引きに進んでも目的が果たせなければ何にもなりませんから、以下の点を考慮して検討しましょう。
①目標金額を調達できるか
ファクタリング会社は取り扱う金額に上限や下限を設けている所もあります。
自社が今どのくらいの現金を必要としているのかを明確にし、検討中のファクタリング会社と取り引きをしたとして目標金額を確保できるかどうか、事前にチェックしましょう。
②必要時期までに入金されるか
迅速性が求められるファクタリングでは、即日から数日以内に現金が必要というケースも多いでしょう。
検討中のファクタリング会社の審査体制や融資の実行タイミングなどから、自社が必要とする時期までに入金がなされそうかをチェックします。
入金までに現金調達ができるかどうかを考えるうえでは、審査スピードと面談の有無などが重要です。
審査過程などで面談が必須となるファクタリング会社の場合、資金調達するファクタリング利用者の社長が忙しいと審査が停滞して進みません。
そのため、結果として資金調達が間に合わなくなってしまう懸念があります。
③手数料は許容範囲か
ファクタリング取引を開始するにあたり、忘れてはいけないのがファクタリング手数料です。
ファクタリング手数料は融資の利息などに比べると高額になります。
いくら資金調達を急いでいるといっても、費用に関わる部分ですので注意して対応するようにしましょう。
通常、二社間ファクタリングであれば5.0%~20%、三者間ファクタリングであれば1%~5%くらいが概ねの相場感となりますが、実際には個別ケースで幅が出るので、事前によく確認して取引ごとに正確な手数料を算定してもらいます。
許容範囲とならなければ、他社を検討する必要が出てきます。
なお、ファクタリング手数料を妥当な金額にするための方法として相見積もりが有効です。
相見積もりとは複数のファクタリング会社から同時並行で見積もりを取得して、比較しながらファクタリング会社を選ぶ方法です。
④二社間取引が可能か
ファクタリング会社によって、また個別ケースによっては二社間取引が利用できないケースも出てきます。
三者間取引では売掛先の会社にファクタリングの利用が知られてしまうので、秘密裏に進めたい場合は二社間取引が可能なファクタリング会社を探さなければなりません。
なお、二社間ファクタリングと三社間ファクタリングのそれぞれの特徴や注意点については、以下の関連ページで詳しく解説しています。こちらも併せて、ご確認ください。
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⑤ノンリコースであるか
売掛先が倒産した場合に、自社がその責任を負担しなくても良いノンリコース取引であるかどうかは、リスク管理の面で重要です。ノンりコースになっていれば、売掛金の支払先が、売却後にファクタリング会社に支払わなかったとしても、ファクタリング利用者が代わりに支払う必要はありません。
回収リスクはファクタリング会社が負うことになります。そして、ファクタリングではノンリコースとなっているのが一般的です。
契約書上もノンリコースとなっているか、しっかり確認が必要です。
⑥売掛金担保融資となっていないか
一部、利用者の側にもファクタリングと売掛金担保融資を混同してしまうケースもあるのでこの点も注意が必要です。
売掛金担保融資はABLとも呼ばれるもので、売掛金を担保にした融資になりますから利息を付けて弁済が必要です。
通常、ファクタリング会社は貸金業者などではありませんので、融資取り引きを行うことはできません。
それにも関わらず、ファクタリング会社が売掛金担保融資を勧めてくる場合、違法取引を行うヤミ金である可能性が高くなります。
こういった場合、ヤミ金はファクタリングと偽って、違法な融資を行っている可能性があるのです。
ファクタリングと混同しやすいので、相談の際はもちろん、契約時にも貸金取引になっていないか念のため確認しましょう。
おすすめのファクタリング会社
ファクタリングを利用するにあたっては、ファクタリング会社選びが重要です。悪質ファクタリング会社に騙されてしまっては資金調達どころではありません。
また、通常のファクタリング会社であっても、会社ごとに取引条件は大きく異なります。
手数料の低さ、資金化までの時間、手続きなどでを円滑に進めるには、良いファクタリグ会社選びがかかせません。
以降では、2019年現在、もっとも利用がおすすめなファクタリング会社をご紹介します。
これからファクタリング会社を探す方も、現在の取引ファクタリング会社からの乗り換えをご検討中の方も、参考にしてみてください。
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まとめ
本章ではファクタリング会社を選ぶ際の注意点について、「安全面」と「条件面」のチェックポイントをいくつか見てきました。
何よりもまず、安全の確保が最優先ですので、悪質なファクタリング業者に騙されないよう今回確認した点は最低限チェックしてください。
条件面のチェックでは自社の目的が達成できるか、個別具体的に詳細な確認が必要です。
特に初めてファクタリングを利用する場合、「ファクタリング会社の何を見ればいいのか」が分からないと思いますので、本章で取り上げた項目をよくチェックして、間違いの無いファクタリング会社を選ぶようにしましょう。